「乳歯はいずれ生え変わるから…」と、乳歯の虫歯について軽く考えてしまっている方はいらっしゃいませんか?この記事を読んでいる患者さまの中にも、乳歯の虫歯について詳しいことは分からないという方もいらっしゃるでしょう。

実は乳歯の虫歯は、お子さまの口腔内と体の発育に深く関わっているため、決して軽視してはならないものなのです。

今回は、永久歯とは少し違う、乳歯の虫歯についてご紹介します。お子さまの歯について知りたいという方はぜひ、ご参考にしてください。

 

乳歯の虫歯の特徴

それでは、乳歯の虫歯にはどのような特徴があるのでしょうか。

 

【進行が早い】

乳歯は、永久歯と違い歯の表面を覆うエナメル質が未成熟で硬度が不足しています。そのため、歯の質が軟らかくて弱いのです。もろい乳歯は虫歯になるとあっという間に進行してしまうので、早期発見・早期治療が求められます。

 

【年齢によって虫歯になりやすい位置が違う】

0~2歳の場合は、哺乳瓶でミルクやジュースを飲んだり、お母さんからの母乳を飲んだりするので、上の前歯の間、歯の付け根が虫歯になりやすいという特徴があります。

また、3歳以降の場合は奥歯、奥歯と奥歯の間、六歳臼歯というなかなか確認しにくい位置が虫歯になることが多くあります。

もちろんこれらの位置ではないところが虫歯になることもあるので、全体的に注意が必要です。

 

【乳歯の虫歯は色が白い】

永久歯の虫歯といえば「黒」や「茶色」を想像するのではないでしょうか。

しかし、乳歯の虫歯は「白色」の場合があることが特徴です。通常の歯は、多少黄色っぽく透明感がありますが、白い虫歯の場合は濁ったような白さです。お子さまの歯を確認して、一部のみ白く濁っている場合は虫歯かもしれません。

 

【痛みが弱い】

小さなお子さまは痛みの感覚が未発達なため、痛みに気が付きにくいことがあります。虫歯が原因で空いた穴に食べ物が詰まり、その痛さを訴えることがありますが、その場合しばらく経つと痛みが引いてしまいます。そこで「少し様子を見よう」と放置してしまうと、虫歯の発見が遅れて症状が進行してしまうのです。お子さまの少しの変化も見逃さず、早期治療を心がけましょう。

 

【神経まで到達してしまう】

乳歯は、永久歯に比べてやわらかい上に永久歯の半分程度の高さしかありません。そのため、大人が思っている以上の早さで虫歯が神経まで到達してしまいます。

そうなると神経を取らないといけません。なるべくなら、そのような事態は避けたいですよね。虫歯は早期発見・早期治療が大切ですので、お子さまの歯をしっかりと観察してみましょう。

乳歯の虫歯が与える悪影響

乳歯の虫歯は永久歯に悪影響を与えることも。どのように関わってくるのでしょうか。

 

【歯並びが悪くなる】

永久歯は、生えてくる際に隣の歯を支えにします。抜ける準備が整っていない虫歯が原因で乳歯を失ってしまうと、永久歯が歪んで生えてきてしまう可能性が高くなります。

 

【永久歯が虫歯になりやすい】

虫歯が1本でもある状態は、口内に虫歯菌が多いということです。つまり、虫歯ができやすい環境といえますね。

そんな口内環境で新たに生えてきた永久歯は、虫歯がない口内環境の場合と比べて、虫歯になりやすいのです。

乳歯の虫歯の原因とは?

 

【大人からの感染】

「お子さまへのスキンシップとしてキスをしてしまう」「スプーンやお箸など、一緒に使ってしまうことがある」、ということがよく言われていますね。
大人の口内に虫歯菌が存在していた場合、お子さまにも感染してしまう可能性があります。

元々、生まれてすぐの赤ちゃんの口内には虫歯菌は存在せず、大人からの感染が原因で、虫歯を発症するお子さまが多いのです。

お子さまのことを考えるのなら、周囲の大人が虫歯を治療しておくことはもちろんのこと、食器を共有しないようにすることが大切です。

 

【歯磨きの仕方】

ジッとしていられないお子さまの歯を磨く時、途中で諦めてしまったことはありませんか?

お子さまが静かにしていられるように、ぬいぐるみやテレビで気を引きながら歯磨きをするのも手ですが、無理に一度で済ませるのではなく、短時間から始めて徐々に慣らしていくなどして対策することをおすすめします。

もし「こどもの歯磨きの仕方がよく分からない」という場合には歯科医院で歯磨きのコツなどを確認してみましょう。

 

【飲食の時間を決める】

「ダラダラ食べ」という言葉を聞いたことはありますか?

お子さまはゆっくりと時間をかけてジュースを飲んだりお菓子を食べたりするのですが、ダラダラ食べを続けていると自浄作用が働かず、虫歯のリスクが高まります。お菓子やジュースを摂る時間は何時から何時まで、とキチンと決めておくと良いでしょう。

また、外で食事をした後に歯を磨くタイミングがない時は、お水などを飲ませることをおすすめします。全てではないですが、歯に汚れが付着することを防げます。

このように、乳歯の虫歯の予防は、周囲の大人の虫歯に対する意識を高める必要があります。

 

まとめ

いかがでしたか?

お子さまの乳歯は、6歳~12歳の間に永久歯に生え変わります。キレイな永久歯に生え変わる姿を、しっかりと見届けましょう。

有馬歯科医院